ucacoceramics | 陶器のシェラカップ
10930
post-template-default,single,single-post,postid-10930,single-format-standard,edgt-core-1.0,ajax_fade,page_not_loaded,,hudson-ver-1.3, vertical_menu_with_scroll,smooth_scroll,blog_installed,wpb-js-composer js-comp-ver-5.5.2,vc_responsive
1月 17 2019

陶器のシェラカップ

 

何故私がシェラカップ型の陶器を作ろうと思ったのか?興味ないとか言わずにちょっとだけお付き合いください!
私1人では作ることが無かった器だから。これホントに!!

 

発端は1年以上前の2017年11月某日、前職(アウトドアブランドで働いていました)でのカタログ撮影の為に都内のとあるスタジオにデザイナーさん、このチームをコーディネートしてくれた方、フォトグラファーさん、そのアシスタントさん、スタイリストさん、私の6名でいた時に遡ります。

カタログのブツ撮りは斜俯瞰でテーマ毎にコーディネート撮影をしていました。 出来る限り色のトーンを合わせるようにもしていました。

 

カタログ撮影は年に数回の限られた集まりではあったけれど、スタジオの雰囲気のせいなのか、最高のメンバーのせいなのか、とにかく毎回楽しみにしている仕事だったのは紛れもない事実で、このメンバーで出来るだけ長く仕事が出来たら良いなぁと本当に思っていました。

 

けれど、撮影の少し前に私は仕事を辞めることが決まってしまい、この日がこのメンバーでの最後の撮影日となりました。

数日前から「コレが最後かぁ…」と思うとものすごく寂しかったし、いつもより私はパワーダウンしてもいました。

辞めることをどのタイミングで皆さんに言おうかなぁ…と思いつつも、あんまり仰々しくするのも湿っぽいのも私らしくないし会話の流れの中でシレ~っと「実は今回で最後なんです。皆さんに会えるの」というような事を言った気がします。

 

ほんの一瞬微妙な沈黙が流れたのだけれど、やっぱり最高のメンバーだなぁって思ったのは第一声が「なんで?」とか「どうして?」じゃなくて「寂しい…」って言ってもらえたことでした。
「私の方が寂しいわぃ!」って言いそうになるのを堪えて、差し障りのない返事をした気がします。笑
「田中さんがアウトドア業界から居なくなるのは寂し過ぎる…」と改めて他の人からも言ってもらったときにはもう、かなり泣きそうになっていました。
絶対泣いちゃマズい(不細工過ぎるから)と思っていたからなんとか持ちこたえたけれど、実は今にも泣き出しそうなかなりヤバい状態でした。笑

 

一般的な大人ならば、こういう会話を社交辞令やリップサービスとして捉えるのかもしれないけれど、私の辞書には【社交辞令】も【リップサービス】も載っていません。
もしかしたらちゃーんと載っていたのかもしれないけれど、気づかないうちに味のしなくなったガムを捨てるときにでも包み紙代わりにビリっとやっちゃってポイっとほかしてしまったのかもしれない…

 

そんなわけで、この時のみなさんの言葉は、心から溢れ出てしまったホンネなんだと私は自分に良い様に受け取ってしまっていました。

私は社交辞令もリップサービスも使いこなせないクソほど不器用な人間です。
年だけは大人で、それどころか40を超えて初老の域に突入しているというのにいつまでたっても中身は子供のままだったりもします。
そう。残念なことに私は俗に言う【こどな=子供の気持ちのまんま大人として生活してる】なんだと思います。

この撮影チームはそんなこどなな私をも受け入れてくれる寛容な人たちでもありました。

 

なんやかんやと話していたなかで今でも親交のあるMr.Cが「陶器でシェラカップって作れないんですか?出来るなら作って欲しいなぁ」と言ってくれ、私はその言葉にものすごく温かさを感じました。
「仕事を辞めたら皆さんとこうやって会えなくなっちゃいますね…」なんてちょっとしょぼくれていた私にかけてくれた言葉だったから…
あぁ、この人は私が仕事を辞めても会える人かもしれない。
そんな事を思うと胸が熱くなったのを今でも昨日のことの様に覚えています。

思っていた以上に仲間になれていたんだとも思いました。

そして、必ず作りますね!と私は約束をして年明け2018年の1月から制作に取り掛かりました。

 

あと付けの把手を付けるために器の本体部分だけ作った白土と赤土の試作品

 

当初は通常の土で精密にシェラカップを再現しようと思って器を作っていました。
把手部分もどうにか細いものを作ろうとしていたけれど、それだと把手と本体の接合面が小さく、不可がかかりすぎて把手が折れてしまう…
細い把手は物理的に難しいから把手だけ後付け出来ないか?なども考えて色々と試してもみたもののなかなかシックリ来ず、途中で頓挫している時期もあったほどです。

別素材の把手を付ける為に穴をあけて作ってみた試作品

 

ナカナカ思うようにいかないので、一旦仕切り直して発想の転換をすることにしました。
煮詰まったら一度0ベースに戻すのが全てにおける私のスタンスです。
しつこく執着しないでサクっと手放す。
1つの方法に固執すると見るべきものが見えなくなるし色んな意味でもったいないし…
型を精密に再現するのが物理的に難しいなら【着想元がシェラカップのキャンプで使える器】にしちゃおう!!と考え方を変えました。

その際この器作りに必要なポイントとして
・丈夫さ
・直火OK
・キャンプ料理が美味しく感じる陶器ならではの暖かみ

という3点をまずはポイントに挙げました。

菊練りした土

 

そうなると必然的に落ち着いたのはろくろでの制作で耐熱の土と釉薬を使って直火にかけられるものにする。という手法になります。
そこまで決まると俄然進みも良くなりました。

現在、1st ,2ndサンプルを絶賛耐久テスト中で色んな料理をワンバーナーや自宅のガスコンロなどで作っています。

 

3rdサンプルも制作の最終段階に入りました。
コレはM r.Cの色別注でこの春には販売したいと考えているものです。

このオーダーをもらった時は心が弾みました。
単純に作っていて楽しいです。
一工程進むたびにワクワクしてしまいます。
制作開始から完成までには、ごく個人的な都合もあって(また別でも書き始めていますが昨年の春に手術をした為、思い通りに作陶できない期間が結構続いていました)時間がかかり過ぎてしまったけれど、信頼していたかつての仕事仲間とまた違うカタチで関わったり出来ることはすごく嬉しいです。
それも好きで続けて来た陶芸を通して…
私にとってこの上なく幸せなことです。

 

そんなわけで、この器を作ろうと思ったのは、ブランドPR時代にお世話になりまくっていた方のオーダーだったからで、ブランドにとって本当に色々と良くしてくださった方だったから、とにかくお礼の気持ちを返したいと当時から思っていたからです。
渡した時に喜んでもらうことを目指して、ただそれだけの気持ちで作り始めました。

 

ところが、陶器のシェラカップを個人的なSNSアカウントにUPしたら、思っていた以上に反響があり、老若男女問わず多くのアウトドア人たちからのレスをいただけました。

 

さすがだなぁ…
お礼の気持ちを表したいと思って作り出した器は結局反対に私に色んなワクワクを与えてくれています。

 

私はブランドPR時代も、土こねババぁになった今も変わらずMr.Cにお世話になりまくっている。
感謝してもしきれない人の1人です。

早く作り上げてMr.Cに渡したい。(ファミリー分の4つを色違いで)

勝手にブログに登場させちゃったなぁ…と思いつつも、あまりにもいろんな人から面白いって言っていただくから、なおさら言いたくなったんです。

Mr.Cのあの一言が無かったらこの器を私が作ろうと思う事は無かったと思うから。
いや、あの方がすごいんですよ。マジで。
なのに、全然偉ぶったりもしないし、恩着せたりもしないし。
ご本人はそんなの大して気にしてないと思いますけど、そういう人ってやっぱりかっこいいです。
リスペクトしている方の1人です。

早くMr.Cに自慢気に「どうですか?コレ!」って言えるところまで完成させたい。笑

 

 

Share Post